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【勉強会補足】 新しい通貨 Happyの立ち位置について [通貨の未来]

まずは勉強会では説明しきれ無かった、Happyという仮想通貨のWebサービスの企画意図や背景などについての補足と、皆様から頂いたトラックバックの回答をさせていただきます。

HPO:機密日誌 ひできさん
ネット通貨の勉強会の報告と人に残された時間

momo's blog 桃知利男さん
交換の形態―ローカルで公なものを如何につくるのか。


■Happyの立ち位置

別に国家に食ってかかろうとか右とか左とかそういう思想は全く無くて、既存のものを全否定するつもりもないです。

既存通貨はトービン税というお金でお金を買う事に税金をかけるなど、といった方策が模索されていたり、金融商品が生む莫大な利益と損失の怪しさが取りざたされている昨今の状況にもあるように、いずれは少しずつ、通貨の欠陥が是正される方向へと進んで行くのだと期待はしています。

Happyの様な通貨システムの立ち位置を既にある言葉で説明するなら、オルタナティブを迫るものではなく、サプリメント、つまり補完する通貨という考え方が最も近しいかもしれません。実際地域通貨やLETSなどを補完通貨と定義して研究をされている方もいらっしゃいます。

また、エンターテイメントという立ち位置でいながらも、現在のおかしな状況にある通貨システムに対しての価値観を揺さぶるアンチテーゼを提案したい。という、やはりある意味過激な側面もあるのかもしれません。

ですが、それにはやはり多くの人に使われてなんぼ、知られてなんぼという所があると思うので、やはり最初は使って『面白い!、楽しい!幸せ!』と思っていただくシステムを作る事が命題なんだと思っています。



■スタートは情報、コンテンツに対する正当な評価システムから

また、Happyのシステムでは、いきなりモノの交換とか、無償のモノの贈与とかって平気で推奨するような仕組みになってますが、こんな事は私たちの今の時代の価値観では絶対にほとんどといって良いほど発生しないんじゃないかと思ってます。(発生したらそれはそれで凄い事ですが、期待はしません)
結局、システム自体が見返りを求めないポイントをあげるだけの仕組み、という少々意味不明なものになっており、私たちの常識からすると一方的にモノをあげてもソンをする。という価値観でいる訳ですので。

なので、初期段階では、あくまで『情報』に限定した評価や贈与を行うシステムという事を想定してます。ただの価値を持たない数字なら、いくらあげても惜しくない訳ですし相手も自分もうれしいならそれでいいじゃない。という訳です。

そもそも、発想の原点に、ネットやコンピュータで、コピーや改編が可能な情報を既存の通貨システムで売り買いするのって、変だよね?非効率だよね?問題多いよね?もっと上手い方法があるんじゃないの?と、いうのがありまして。
その際は、情報を買った人が多いほど、購入履歴から買った側の単価が平均化(ワリカン)される様に払い戻しされたり、情報改編を行って再配布、再販売をした際は、元ネタを提供した人の元に、誰にとっても妥当な分だけの見返りが還元される事で、結果的に元ネタを作った人にも利益が還元されるようなシステムを考えていた時期がありました。

つまりビジネスの手段に応用するなら、たとえばシステムを有料で動画サイトなんかに組み込んでHappyで相互評価をすると、有料で集めたお金が、自然とクリエイターへの正当で妥当な評価が現れてくるはずなので、それに従った報酬を払うモデルという提案もできます。ただ、みんな有料でやりたいなんて最初は思わないですし、現状の著作物のロンダリングが行われている状態だと何かとやっかいなので、実際に集まったポイントを指標に『金』は動かすことは難しいでしょう。



■産業構造とマズローの欲求ピラミッド

そんな事を考えている内に、人の価値観にもうちょっと余裕があって、多くの人が全体を見通せるようになれば、このシステムで情報だけじゃなく、モノの取引にも応用がされる時代が来るんじゃないかな?とか、著作物にうるさくない情報を相互に評価発展させるにはどうしたら良いのか?とか熟考し熟成させた結果が、まあ、Happyというシステムだった訳です。

情報産業って、先日の勉強会でも出た通り、三次産業の情報関連産業を四次産業に切り分けるという提案もされはじめましたが、産業の構造関係は、
『1,生産』、『2,加工、インフラ』、『3,物流、サービス』、『4,情報』といった構造で、基幹産業の上に成り立つ新たな産業がありながらも、ひとつ前の産業を補足や補完する関係で成り立っている部分があります。

クラークの産業分類

同時に人間の欲求もこのマズローの欲求段階説のピラミッドにおいて同じような関係を見る事ができます。
『1,食うこと寝ること』『2,安全であること』『3,社会的帰属』『4,自我欲求』『5,自己実現する事』といった同様の関連性の上に成り立っている部分があります。
まずは食えなきゃ自己実現はあり得ない。

で、以前べき乗の集まりで伺った面白い話にマズローのピラミッドには実はもう一つ上の欲求があるらしい、というのがあって、それが『6,コミュニティ発展欲求』だったというものでした。

つまり、ある程度アガリまで行った人っていうのは、自分の地域や周囲、つまりコミュニティに対しての発展を尽くそうという欲求があるのではないか?という訳です。

この辺、近代の人や身の回りの方の様々な行動を見ていると「成程」と頷く事が多々あります。

そして、この『6,コミュニティ発展欲求』というのは、実は地域や周囲の人への貢献であったり、利他的な行動というものと多分に結びつく要素が強いのではないか?と推察するようになりました。

ライオンズクラブの方たちの無償の掃除運動や、各地で起こるNPOやボランティア活動への関心の高まり、多くの若い人たちが社会起業家を目指している事など、社会貢献を生活の一部や、より多くの時間を締めようとする人々の活動は、昨今の豊かになった社会を土壌にした『6,コミュニティ発展欲求』にまで登りつめた人達の活動なのではないか?
そして先進国と呼ばれる場所で、生活や仕事に困る事のない人が多くいる国では、そのような人々を多く排出するまでに到達しているのではないか?と考えた訳です。

そうなると、そういう社会背景に合わせた形態のサービスを『四次産業』で『6,コミュニティ発展欲求』を持つ人をターゲットにシステムを構築するのも悪くないのかな?と考えた訳です。(ちょっと跡付けっぽい理由ですが、おおかたそんな事を考えてました。)

そしてこの仕組みが回る事で、『四次産業』で『6,コミュニティ発展欲求』に近しい人たちが徐々に周囲の人からより遠い所へと、自己組織化が可能で、かつダイレクトに貢献できるP2P的な行動も起こせるシステムがあってもいいのでは?と思うようになった訳です。

そして、おそらくこういった人たちが、このシステムを使う事で予想される働きとして、より利他的な提案、解決策を情報として発信する人同志の自己組織化が行われ、次第に実経済に影響を及ぼす行動や活動を起こすための、きっかけを作れるのではないかと思っています。また、Happyをもらった側が別の形でお礼を返すことは個人間のやり取りの中で行われる事があるでしょう。
また、言語の壁もこの仕組みで結構容易に超える事が可能なのではないかと考えています。
Happy利用者の中に外国語が堪能なユーザーがいた場合、記載元の相手の許可を得た上で、自分が素晴らしいと思った情報を自由に翻訳し、自分のブログなどに記載することで、相互の国の間でコミュニケーションがフェアなポイント流動で促進される事が期待されます。
しかし、そこから先で巻き起こそうとする活動資金は、むしろHappyではなく既存の通貨が使われたりするのでしょう。でもそれは確かな意思を持った、最大限のグローバル思考に基づく、利他的な行動としての通貨の使われ方を促進できるのではないかと確信しています。



■未来を予測する為の進化と自己組織化

さらにちょっと妄想めいた想像が入りますが、人類というか生命の歴史的な発展についても思考を巡らせたことがありまして、生命の進化って、生命が複雑化してきて脳を作った事で、危険予測の能力が格段に進歩してきた歴史なのでは?と考えた事がありました。

で、現在の人類が社会性を複雑化させテクノロジーや高度な文化を生み出すまでに至ったのは、まさにこの未来を予測する能力や知識を、個人や社会レベルでものすごい勢いで高めてきた結果だと思っている訳です。

そして多分、人間がこれから数百年に渡って繁栄を続けるとするなら、次の未来を予測して危険を回避するのは必要なテーマになると思うんです。大きな課題として持続可能な社会の礎を築いたり、地球に降ってくるでっかい隕石を回避させたり、宇宙へ飛び出して星の世界に広がって行く…。みたいな事がテーマになると思うんですが、たぶん今の社会の仕組みじゃそういうことって上手くいきそうもないですよね。

という事は、自分たちが引き金引いちゃった環境問題とか資源問題とか食糧問題とかの問題を戦争とか絶滅とかの危険を回避しながら、何かを切り捨てる事無くもっと上手くやれる仕組みってないのかな?とかも考えた訳です。

なので、なにも既存の通貨を全否定してこのHappyが世界にとって変わる通貨になるなんて想像だにしてません。というかそんな世界になったら息苦しいです。たぶんポルノ雑誌一冊もマトモに買えない、嫌な世の中になると思うんですよ(笑)

例えこのシステムが支持されてどんなにうまく行っても、自分たちの時代の価値観に会う通貨のシステムが考案されてそれに帰結するなり、既存の通貨システムと共存してゆくはずだと考えています。

おそらく、そんなシステムは、企業や国家によって作られるのではなく、Linuxの様に、世界中の開発者の自由参加によって発展させた様に、サービス自体をオープンソース化し、世界規模で機能の発展や、進化を行わせる事になるのだと思います。

また、そんな通貨システムにも似たようなものがたくさん現れ、複雑性が生まれる可能性もあるのでしょう、この辺はcurrencybuilding氏が言っていた通りです。



■明るい方の未来へ、あと宇宙へ行きたい

ただ、数百年という長期的には自分の考えた様なシステムに近い通貨システムを、人類は選択して行くだろうとは思っています。
スタートレックなどの通貨が無くても、全力で宇宙探検できるほどのパワーを持った明るい未来とかを思い描くのが好きですし、早いとこテロや貧困を根絶して、代価エネルギー問題とかにも真剣に取り込む集団に潤沢な予算が配分される。そんで世界の皆に期待されて安全に軌道エレベータが作られて、多くの人が宇宙に行ける日が来る。なんて世界を夢想をしてます。

社会が上手く回って、人類がちょっと本気を出してみたら、それくらいあっという間にできるはずだとは思うんですがね。その為の方法論というか、多くの人に考えてもらう為に波紋を広げるプロジェクトをやりたい、というそれだけのことなんです。国を否定するとかそんな大それたこと考えてないです(笑)いや、もしくはある意味それ以上なのかな?


■Happyは通貨の新しい試みの集積でしかないです。

また、HappyのベースとなっているシステムにPICSY
http://www.picsy.org/
やhanahana
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20347727,00.htm
の思想というものが多分に含まれています。PICSYの様にコンピューターネットワークがあって初めて成立する通貨システムという概念と、hanahanaの様に全てが好意の贈与によってのみ成り立つシステム、また、ゲゼルの使わないと減額してゆく仕組み、ベーシックインカムが想定されたシステム、そしてインフレもデフレも起こさない総量が決まった通貨(ここはオリジナル、かな?)など、色々とおいしいとこ取りの発想でしかありません。
ですが、既存の通貨の逆の発想を考えられるだけ考えてみた結果、辿り着いた仕組み、というものでもあります。



■オルタナティブではなくサプリメントな通貨を目指す。

という訳で右とか左とかではなく、それこそ、ももちさんが示して頂いた『公でかつローカル』というまだない「何か」の世界に切り込もうとしているのかもしれません。
ただ既存のものを壊すとかは一切考えて無くて、既存のものと『補完 supplement』してゆくプロジェクトになるべきだし、そうじゃないと上手く行かないと思うので、そっちの方向を目指すことになるんだと思います。たぶんそこに何かがあると、世界としてはバランスがよくなりそうですし。

かつてラジオに対しテレビというメディアが出現し、テレビに対してネットが出て来たように、既存のメディアと多少相性が悪くとも、うまく共存してゆく補完関係の通貨になるのではないかと考えています。

ただ、これはあくまで上手く事が運んでなんぼの話、出来なければただの妄想でしかないので、まあできる限り実現できるように、無理をしない程度で動いてみようとは思ってます。

そんな訳でプロジェクトの参加者は随時募集中です。
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風太郎

happy !?

当社の社内通貨エブリに相通じるものがありますねーw


リアルなバッチとか、あとは携帯ストラップとかあるといいかも。
「いつもありがとう。これまでのお礼に、この1000happyストラップをもらってくれ」
みたいな感じかも



by 風太郎 (2008-11-12 19:58) 

さかまた

>風太郎さん
社内通貨なんてものを使っておられるんですか!
ちょっとびっくりです。
グッズとしての展開っていうのも面白そうですね。
でも多分自分たちではやらないでやりたい人が勝手にやってくれる日を待つ、位の気負いで待つのがいいのかなー、Tシャツとかは自分でデザイン制作やるのを含めて興味ありますが。
by さかまた (2008-11-13 01:50) 

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